第19章

「島宮さん、隠さなくていいわよ、絶対イケメンでしょ?」

オフィスは一気に賑やかになり、同僚たちがあれこれと口々に噂し始めた。言葉の端々には好奇心と探りの気持ちが溢れていた。

島宮奈々未はただ淡く微笑むだけで、正面から答えることなく、「ただ体調が悪くて、病院で検査してもらっただけよ」とぼかして言った。

彼女は誰にも自分と丹羽光世の関係を知られたくなかったし、ましてや自分の過去を覗かれたくなかった。

そのとき、ヒールの音を立てて斉田静佳が近づいてきた。彼女は鋭い目でオフィス内を一巡し、最後に島宮奈々未の手首に視線を落とした。

彼女は島宮奈々未の手首にある繊細なブレスレットに気づき、目が...

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